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湊の顔があからさまに曇る。一瞬勘違いかとも思ったが、ここまで明白なら勘違いではないのだろう。
「…湊…?」
難しい顔をしたまま固まっている彼の肩をトントンと叩く。するとビクッと肩が震えた。
「… …
…ああっ!写真!いい案だ。撮ろう。」
思い出したようにそう言う湊は、作り物の引きつった笑顔を浮かべ手袋を外すと、アキの肩に手を置き、湊のスマホで2人とスノーマンが全て入るようにシャッターを押した。
2人で写真を確認すると、なかなか良い構図だ。
「いい写真だね。」
アキがそう言ったのは、本当にいい写真だと思ったからの他にもう1つ理由があった。写真を撮ろうと言ったとき、湊の表情が明らかに可笑しかった。だからもう一度確認のためにそう聞いて同意を求めたのだ。
「…あ、ああ。いい写真だな。」
引きつった笑顔と硬い声。やはり何かありそうだ。アキは写真を見るふりをして湊の横顔をじっと見つめていた。
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