第4章 雪遊び

4/4
351人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
湊の顔があからさまに曇る。一瞬勘違いかとも思ったが、ここまで明白なら勘違いではないのだろう。 「…湊…?」 難しい顔をしたまま固まっている彼の肩をトントンと叩く。するとビクッと肩が震えた。 「… … …ああっ!写真!いい案だ。撮ろう。」 思い出したようにそう言う湊は、作り物の引きつった笑顔を浮かべ手袋を外すと、アキの肩に手を置き、湊のスマホで2人とスノーマンが全て入るようにシャッターを押した。 2人で写真を確認すると、なかなか良い構図だ。 「いい写真だね。」 アキがそう言ったのは、本当にいい写真だと思ったからの他にもう1つ理由があった。写真を撮ろうと言ったとき、湊の表情が明らかに可笑しかった。だからもう一度確認のためにそう聞いて同意を求めたのだ。 「…あ、ああ。いい写真だな。」 引きつった笑顔と硬い声。やはり何かありそうだ。アキは写真を見るふりをして湊の横顔をじっと見つめていた。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!