第5章 大学生活。

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「おはよう。」 挨拶を返すと、そのまま並んで歩く。見た目に反して(失礼)青柳はまじめで、四年になればアキと同じ2番人気の研究室に所属する予定だ。 そして、なぜかアキにやたらとかまってくる。。湊と同じでお節介なほど甘やかしてくるのだ。 「レポート課題やった?」 「やった。」 「問3わかった?」 「(4)は微妙。なんで摂動波動関数のi=2以外の項が0になるのかわからない。」 「あー、あれは規格化してあるからエルミートを共役をかけて積分したら2以外0になって2は1になって… 」 「なるほど!」 「俺は問3の(3)がわからなかった。」 「ああ、あれは… 」 記憶のなくなる前にしてきた勉強は知識としてだけ残っている。周りと比較してかなりできることを考えると、以前からちゃんと勉強はしていたようだ。 だからそれを裏切らないように今も毎日復習はするようにしている。 それでも理解しきれないことはあり、それは青柳と話し合えば解決することが多かった。 気づけば先ほどあんなにうるさかった心臓は落ち着きを取り戻している。 「あ、やべ、チャイムなりそう。」 時計を見ると授業2分前を示している。講義室までは階段を上ってすぐだ。 「え、急ぐ!」 2人揃って一気に駆け出す。前から2番目の席に着いた時にぴったりとチャイムが授業の開始を告げた。
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