第4章 雪遊び

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第4章 雪遊び

※ここから書き方が変わります。完結後から前にあげた章も後と同じように変えます。ご了承ください。 玄関のドアを開けると、ひやりとした空気が容赦無く全身を襲う。そして外を見ると窓から見たものと同じ、銀世界が広がっていた。 その白に吸い寄せられるように一歩踏み出すと、さく、と音がなる。そして靴に覆われていない踝より上のところをふわりとした感触が覆った。 冷たい、とアキは思った。雨とは違う。知識以外の記憶が欠落したアキにとって、初めての感触だ。 でも、嫌いじゃない。歩くときにふわふわの中に靴が埋まっていく感じが癖になり、アキは真新しい雪の上にいくつもの足跡を刻んだ。 足跡をいくつも刻んでいると、今度は手形も残してみたくなる。腰を屈めると、雪の上に手形を残す。 近くの気が雪に覆われている。覆われれば冷たいはずなのに、どこか温かそうに見える。その光景が気に入って、かじかんだ手でスマホを取り出し、なんとか震えを抑えながら、写真に収めた。 スマホをポケットに戻すと、知識としてはあるスノーマンを何故だか無性に作りたくなった。しかし、たくさんの雪をかき集めようとしてもただ山になるだけで丸くならない。 どうしたものか、と考えあぐねていると、家の方から誰かが歩いてくる音がした。
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