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たんだから。鮮明に世界が見える今なら、前よりずっと優しい人になれるわ。
「──そうね」
魔女はそう言って、光に包まれながら消えていく彼女を見送り、その水晶玉を地面に叩き付けた。
粉々に散った光の粒は、もう二度と元には戻らない。
「な、何で」
兄はその日、目の前で妹が倒れたのを見た。首から大量に血を流し、手には血濡れた刃物を持ったまま床に倒れる妹は、この世のものではないかの様だった。
「おい! だれかっ…救急車!!」
青ざめた顔で、慌てて救急へ電話をする。
「た、助けてください! 妹がっ、自分で自分の首を刺したんです! こんな自分はもう嫌だとか言い出して。最近親が離婚してから、引きこもってはいたんです! でも突然、じ、自殺なんかッ!!」
完
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