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とうに大人になり、誰にも邪魔されない一人暮らしをしても保は人形を手に入れることはなかった。もちろん欲求は消えてはいない。むしろ抑制された分、沈殿物は濃厚になりさらに強まっていた。
だが、大の男がよだれを垂らさんばかりにおもちゃ売り場で人形を購入するなど、刷り込まれた罪の意識が許さなかった。
保は全く興味を覚えない結婚を考えたこともあった。子供が出来たら堂々と人形を購入できる。だがリスクもある。生まれた子が男の子だったら? 愛せない妻に欲しくもない男の子――独身でいたほうがまだマシだ。
やがて保はネットでなんでも購入できることを知り、そこで人形を手に入れれば誰にもわからないと考えた。
インターネットを始めよう、そう決心した矢先、保は本物の少女人形を路上で見つけた。
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