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第一章:異変は突然やってくる
季節は夏。
期末テストも終えて、夏休みまで消化試合だと教室内が浮き足立っている中、俺は登校して早々に机に突っ伏して、HR開始までの数分を睡眠時間に当てていた。
俺の席は窓際の後ろから二番目だ。そこからは広大な海が見える。開けられた窓からは心地のよい潮風が流れ、時折頬を撫でた。
このまま時が止まれば良いのに、などと乙女チックなことをぼんやりと考え始めた頃、頭上から声が降ってきた。
「なぁ雪人よ。何でいつも朝からそんな気だるそうにしてるんだ? もうすぐ夏休みなんだから、もうちょいはしゃいだって良いんじゃないか?」
呆れたような声に俺は机に突っ伏したまま顔だけを上げて、安眠を邪魔した元凶を見やる。
そこには爽やかさを絵に描いたような、俺とは無縁そうな少年がそこにいた。
タレ目が印象的なイケメンだ。タレ目にはイケメンが多いと聞くが、彼を見ているとあながち間違えではないのかもしれない。
彼の名前は半田龍之介。サッカー部のレギュラーで二年生。
そんないかにも人生を謳歌してそうなステータスを持つ半田に、起こされた事への不満を隠しもせず悪態を吐いた。
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