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「あのな半田。確かに夏休みまで三週間を切った上に、期末テストも終わったから勘違いするのも分かるけどな、よく考えてみろよ」
「もうすぐ夏休みでハッピーだろ?」
「違うな。だいたい、俺がそんな前向きなことを言うと思うか?」
「だよな。雪人がそんな前向きだったら、俺は偽者じゃないかと疑うね」
「お前なぁ……」
軽く否定してくれる期待も虚しく、半田はあっさりと肯定した。
若干不満に思ったが、めんどくさかったので口には出さなかった。
「それでなんなんだ? 勘違いって」
「ん? ああ……」
いつの間にか眠そうに視線を窓の外へと放り投げていた俺は、気のない返事をして半田と向き直る。
「ああ……ってお前な」
「悪かったって」
呆れるような視線をかわすように短く謝罪して、さっきまでまとまっていたはずの考えを思い出す。
「俺が言いたかったのは、いくら夏休みが迫っていようが、学校なのは変わりないってこと。授業やらなんやらはあるんだから、夏休みが近いからってテンションは上がらないんだよ」
「なるほど、それは雪人らしいな」
そう言って半田はにこりと笑う。そんな彼を眩しそうに目を細めて見たところでHR開始を告げるチャイムが鳴った。
「それじゃあな」
「ああ」
短く返事をすると、半田は自分の席へと戻っていった。
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