第二章:笑顔の裏側

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 もう四十も半ばの玲子は、その衰えを感じさせないほどに活発な印象の人だ。今はスーツ姿のお陰でバリバリの仕事人のような印象を感じさせる。  玲子は口元に笑みを浮かべると、気安く手を上げた。 「よ、お帰りユキ」  玲子は、数日振りに顔を見た息子の登場に少しも動揺することもなくそう言葉を掛けてきた。 「お帰りじゃない。なに普通に馴染んでるんだよ」 「だって、あんたの未来の奥さんになるかもしれない子なんでしょ? だったら母親として仲良くしておかないといけないじゃない」 「えっ、お、奥さん!?」  俺が入ってきてから話を聞いていただけの楓乃が急に顔を赤くさせたかと思うと、顔の前でブンブンと手を振った。 「あら、違うの? てっきりユキの彼女だと思ったんだけど」 「ち、違いますよ。センパイには篠崎さんっていう、素敵な人が居るんですから」 「お前も何言ってんだ? まだあの話引きずってんのか?」 「あの話って何? ちょっとユキ、二股は良くないわよ!」 「あんたは少し俺の話を聞こうな。さっきから俺の話だけ反映されていない!」  一通りツッコミ終えて俺が肩で息をする。 「ユキ、疲れないかい?」 「誰のせいだと思ってるんだ?」  そう聞くと、玲子は楓乃と顔を見合わせてお互い「さぁ?」という感じで肩をすくめた。     
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