第二章:笑顔の裏側

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 俺はそれに溜め息を吐くと、誤解を解くことを早々に諦めて、二人とは反対のソファに座った。 「それで、今回はどれくらい家に居るんだ?」 「楓乃ちゃん、ユキが冷たいわ! お母さん泣いちゃいそう」  よよよといった感じで、玲子は口元を手で覆った。 「あ、あはは……あたしちょっとお手洗いに……」  楓乃は困ったように苦笑いすると、そう言って廊下へと逃げていった。  廊下の向こうからガチャリというトイレのドアらしき音が響くと、途端にリビングには沈黙が降りる。  俺は何となく気まずくなり、視線をどこに置こうかと落ち着かないでいると、玲子が沈黙を破った。 「少ししたら、また出るね」 「そっか」  素っ気ないような玲子の言葉に俺も素っ気なく返す。  どうということはない、いつも通りのやり取り。俺はそう思っていたのだが、玲子は違ったのか、優しく笑った。 「最近会えてなかったから、ちょっと様子を見に今日は帰ってきたの。だから、その……元気そうで安心した」 「なに母親みたいなこと言ってんだ?」 「母親だからよ」  玲子は胸を張ってそう言いきった。  そこで玲子が「あっ」と声をあげると、何かを思い出したかのように手を合わせた。 「そうそう、お父さんからユキに伝言があるのよ」 「父さんが?」  意外だと思った。     
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