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普段、家に居てもあまり喋らないし、向こうから干渉してくることも滅多にないため、自分にはあまり興味無いのではないのかと思っていたのだ。
そんな父からの伝言。何だろうかと玲子の言葉を待つ。
「『納豆を、毎日ちゃんと食べろ』って伝えてくれって」
「な、納豆?」
全く意図の分からない伝言に、頭の上にはてなを浮かべていると、玲子はくすりと笑った。
「あの人……本当に不器用よね。心配なら、もっと別の言葉を掛けてあげれば良いのに」
ため息混じりに言った母の言葉で、ようやくどういうことか理解できた。
それを自分の中で言葉にする前に、玲子が答えた。
「お父さん、何だかんだでユキのことが心配なのね。本当に昔から変わってない……」
「そっか」
俺が短くそう返すと、再び沈黙が降りる。
だが、不思議と先程のように気まずいということはなく、寧ろ心地良いような気がした。
そうしてからどれくらい経っただろうか。楓乃がまだお手洗いから帰ってきてないところを見ると、それほど時間は経っていないこの時、玲子は「よし」と言いながら立ち上がった。俺もそれにつられて立ち上がる。
「それじゃあ、お母さんそろそろ出るね。ちゃんと暖かくして寝るんだよ」
「ああ、分かったよ」
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