第二章:笑顔の裏側

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 俺の返事を聞いて、玲子は一度頷くとリビングのドアの向こうに消えていった。それから俺は立ち尽くし、玄関のドアが閉まる音が聞こえたところで、俺は再びソファに腰を下ろした。  そのまま疲れたように溜め息を吐くと、天井を見上げた。  取り敢えず、一難去った。そう思っていると、リビングのドアが再びガチャリと音を立てた。 「あれ、センパイ? 玲子さんは?」  ドアの向こうから現れた楓乃の姿を見て、俺は盛大に溜め息を吐いた。  今日はまだ、こちらの問題が残っていたのを、すっかりと忘れていた。  その後、俺の態度に楓乃がギャアギャアと文句を言ってきたが、俺は軽く受け流しながら今日の晩御飯の準備を始めたのだった。
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