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だが、すぐに何かにおかしいことに気づいてストップを掛ける。
「いや、ちょっと待てよ。普通逆だろ。何で俺の方に何も無いこと前提で話を進めてんだよ」
「たまにはそういう趣向もありかと思ってね」
「なんだよそりゃ」
俺は腕を枕にして机に突っ伏した。
それに篠崎が涼しげな声を掛ける。
「でも、あまり目の前の考え方だけに囚われない方が良いと思うよ」
「どういう意味だ?」
「勘違いしてるかもしれないってことだよ。その子が抱える問題は、ひょっとしたらもっと途方もない事なのかもしれないし、案外簡単に解決できることかもしれない。どちらにしても、現象の一つ一つを目に見えたまま捉えるのはやめた方がいい」
「そう言われてもなぁ」
それが率直な感想だった。
ただでさえ何が何だか分からない現象を、目に見えたまま捉えるなと言われても無理と言う話だ。
他の答えを出すには、その答えを出すための知識が必要なのだ。それがない俺に、別の解を出すことはできない。
その心情を悟ってか、篠崎はフッと笑うと。
「出来る限りで良いんだよ。ただ、目に見えることが全てじゃないってことを言いたかっただけ」
「そう、か…」
あまり納得せずに呟いて、机に突っ伏したまま篠崎を見やる。
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