26人が本棚に入れています
本棚に追加
ーー君との連絡以外一切触らなかったら意外ともつもんだって知ったよ。最近のスマホのバッテリー舐めてた。
ーー今どこにいる?
ーー君のすぐそばだよ。
ーー具体的に。
ーー写メ、撮ってご覧。
言われた通りにカメラを起動して、適当に室内を撮って回る。ワンルームなのでカメラをぐるりと一巡させるだけで良かった。
ふと、猫が僕の膝でごろ寝しながら一点を見つめている事に気が付いた。僕の隣を。猫の見つめる方へとカメラを向ける。シャッターを切る。
確認した写真は、奇妙なもやのようなものが写り込んでいた。僕の隣、ソファに座る人影にも見えなくはない。
LINEの通知が来た。
ーーとなりっていったでしょ。
悪戯っぽく笑う彼女の顔が、もやの中に見える気がした。
僕は霊感が皆無だから、どれだけ彼女が近くにいようとも何も感じない、けれど、僕よりよっぽど心霊現象に強いらしいスマホを使えば、彼女が何処にいるかがわかる。
こうやって少しずつ彼女との接し方を学んでいけばいいのか。
功労者である猫を愛撫してやると、気持ち良さげにゴロゴロと喉を鳴らした。
ーー嬉しそうだねぇ。
ーー君の姿が見えた、ようなものだから。
最初のコメントを投稿しよう!