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ーーどこにいるか知りたかったら、そうすればいいよ。
ーーそうする。
これまでスマホ越しでしか認知出来なかった彼女の存在が、より身近に感じられる。
彼女が確かにそばに居るのだと。
歓喜を覚えた反面、僕の心に黒いシミのようなものが広がった。それを払拭する為、直ぐ様スマホを手に取る。
ーー俺以外のところには行ってないよな?
これもまた、返事は即座に来た。
ーー行ってない。死んでからずっと君のそばにいる。
彼女の返信に満足して、僕の黒いシミは一時なりを潜めた。
それからはまた取り留めもない、くだらない話をたくさんして、夜を明かした。
「忙しい……」
二台のスマホを同時に操作しながらボヤいた僕の目はきっと充血していたことだろう。
彼女と僕は同じソシャゲを遊んでいた。
僕が先に、仕事の気晴らし程度に始めたものに彼女が興味を持って追従する形で始めたものだ。
当然僕らはフレンドになっていたのだが、彼女が暫くログインしていないのを見て飽きたのかと思っていたが、訃報を聞いてまず真っ先に納得したのはその事だった。
始めた当初こそ僕に話題を合わせるためにプレイしていたものの、ある程度進めると彼女自身もハマり始めたのか積極的にゲームを進めるようになっていた。
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