甘い二人

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「何だよ? まさかS&Mに引き抜こうって言うんじゃないだろうな?」 「えっと…そうじゃなくて。ボク、やっぱり喫茶店をやってみたくて…。それで陽一に店を手伝ってもらいたいんだ」 「喫茶店って、紅茶専門のか?」 「うん。コーヒーは苦手だしね。後は軽食を出したりして、都会じゃなくて田舎でのんびりやりたいと思ってさ」 「のんびりって、そんな退職後のサラリーマンが言うようなことを…」 「だっだってあんまり騒がしいのは好きじゃないし、忙しいのも苦手だし…」  羽月は元々大人しい性格をしていた。今ではこんな仕事をしているものの、彼の性格に合っているのはきっと喫茶店の方だろう。 「…分かった。じゃあ今度は喫茶店開業を目指して頑張ろう。オレもできる限り、手伝うからさ」 「あっありがとう! でもまずは陽一のご両親に挨拶だね。やっぱり『息子さんをください』って言うべきかな?」 「はっ羽月…」  それでは結婚報告だ。聞いた途端、再会したショックとあいまって、両親は引っ繰り返るだろう。 「まっまずは再会の挨拶だな。後は…後から考えよう」 「そうだね。まだどういう喫茶店にするかとか、どこに建てるかとかも全然決めていないし。やっぱりちゃんとしてから、報告するべきだよね」 「あっ、はは…。そう、だな」     
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