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「それでいつだったか…。陽一がボクが作った紅茶を喫茶店とかで出したら、多くの人が喜んでくれるんじゃないかって言い出したこと、覚えてる?」 「えっと…」  確か高校生の時に、そんなことを言ったような記憶はあった。  その頃には羽月の作る紅茶は、どの店のよりも美味しく作ることができるようになっていて、だから将来、喫茶店でもやれば良いと言ったことがあった。 「お前に喫茶店をやれって言ったことか?」 「そうそう。それでちょっと思ったんだよ。ボクの作るオリジナルブレンドティーを商品化することを」 「いいじゃないか。お前、種類いっぱい作れるし、どれも美味しいんだから、ヒットすること間違いないだろう?」  笑顔を輝かせ言う陽一に向かって、羽月は苦笑を浮かべて見せた。 「…それはダメだ」 「えっ? どっどうして?」 「紅茶を殺人の道具に使ったから」 「あっ…」  羽月は五年前の自分の行動を、未だに悔やみ、そして許してはいない。  陽一も完全には許せていないが、その思いは羽月の方が深く重い。 「よりにもよって陽一を殺す為に、紅茶を作ったことのあるボクには、人を喜ばせるような商品なんて作れないよ」 「そっそれは…」 「まあそのうち、陽一の会社で作ってくれたら良いなと思っただけ。…ボクは五年前のあの時から、紅茶を飲まなくなったから」 「羽月…」     
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