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「ボクはお金も権力も地位もいらない。陽一さえいれば、それで良いんだ」 「羽月…」  陽一は羽月を抱き締め、何度も頭を撫でた。 「…この会社はどうするんだ?」 「とりあえずは続けるよ」 「って言うか利皇は辞めたのか? ここを」 「うっう~ん。何か本人は辞めたくないみたい」 「アイツ…楽しんで遊んでいるよな?」 「まっまあそうみたい」  マネーゲームを好んでやりそうな利皇は、地位を手に入れても続けそうだ。しかも人知れずこっそりと。  でもそのぐらい野心的ではないと、上の立場になれないのかもしれない。  …だとすれば自分は低いままで良いと、陽一は心の底から思った。
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