4

3/5
前へ
/115ページ
次へ
 プロジェクトに取り掛かり始めた時に、両親にいつ羽月のことを言い出すか、迷っていた。  羽月の父親からの金銭的援助はなくなるだろうが、そこは利皇が引き継ぐらしい。  利皇が羽月の義理の兄であることは、両親は何も言わずとも気付いただろう。後はタイミングを見計らって言うべきなのだろうが…。 「…すでにバレている気がする」  何だかんだと理由をつけては東京へ一人で出向く自分を、両親は深く追求してはこなかった。しかしどこかでは感付いているだろう。  後は陽一が言い出すのを待っているのか、それとも羽月が訪れるのを待っているのか。 「どちらにしろ、後はオレ次第ってことなんだよな」  二人の仲を暴露するワケにはいかないが、せめて和解できたことは報告するべきだろう。  両親にどれほどの心配と迷惑をかけたか、今でも充分に分かっていたから…。 「…あ~、気が重い」  ベッドの中でゴロゴロ転がっていると、部屋の扉が開いた。 「陽一? 起きてる?」 「ああ、起きてる」 「朝食できたから、お風呂入っておいで」 「分かった」  むくっと起き上がり、バスルームへ向かう。  すでに部屋の使い方も慣れてきたもので、陽一専用の物まで置き始めている。  陽一は風呂に入ったあと、私服に着替えてリビングに向かった。     
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

208人が本棚に入れています
本棚に追加