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プロジェクトに取り掛かり始めた時に、両親にいつ羽月のことを言い出すか、迷っていた。
羽月の父親からの金銭的援助はなくなるだろうが、そこは利皇が引き継ぐらしい。
利皇が羽月の義理の兄であることは、両親は何も言わずとも気付いただろう。後はタイミングを見計らって言うべきなのだろうが…。
「…すでにバレている気がする」
何だかんだと理由をつけては東京へ一人で出向く自分を、両親は深く追求してはこなかった。しかしどこかでは感付いているだろう。
後は陽一が言い出すのを待っているのか、それとも羽月が訪れるのを待っているのか。
「どちらにしろ、後はオレ次第ってことなんだよな」
二人の仲を暴露するワケにはいかないが、せめて和解できたことは報告するべきだろう。
両親にどれほどの心配と迷惑をかけたか、今でも充分に分かっていたから…。
「…あ~、気が重い」
ベッドの中でゴロゴロ転がっていると、部屋の扉が開いた。
「陽一? 起きてる?」
「ああ、起きてる」
「朝食できたから、お風呂入っておいで」
「分かった」
むくっと起き上がり、バスルームへ向かう。
すでに部屋の使い方も慣れてきたもので、陽一専用の物まで置き始めている。
陽一は風呂に入ったあと、私服に着替えてリビングに向かった。
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