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一年後 /店が完成して…
それは羽月の大きな一歩。未来に向かって生きる為の、進歩だった。
「…そうだな。それが良い」
陽一は穏やかに微笑み、頷いた。
「とりあえず一年と考えている。その間にちゃんとプロジェクトを完成させないとね」
「だな。オレも頑張る」
「うん!」
二人はお互いに微笑みあった。
―そして一年後。
「…わぁ、派手だなぁ」
思いっきり棒読みで、陽一は呟いた。
「あはは…。利皇、頑張ったね」
どこか遠い眼で、羽月は呟いた。
二人の視線の先には、立派にオープンした店が一軒。プロジェクトが成功した証拠が、大きく派手にあった。
陽一は今、激しく後悔していた。
と言うのも、まずは商品の数を出すのに力を注いでいた為、東京の店をどんなふうにするのとかは任せてしまったのだ。
―利皇に。
彼自身からやりたいと言い出したのもあったが、いくらなんでも途中で見に来るべきだったと深く後悔していた。
建物のデザインが、とんでもないことになっていたのだ。薄いクリーム色の壁に、色とりどりの花が描かれている。中には果物の花も描かれており、街中でもかなり目立っていた。
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