甘い二人

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「あっああ」 「お店もオープンできたし、その…そろそろ陽一のご両親に挨拶に行こうかと思っているんだ」 「おっ、そうだな」  ようやく仕事も一段落できた。  工場の方も落ち着いてきたので、両親も時間が取れるはずだろう。 「せっかくだから、この紅茶を手土産に持って来たらどうだ?」 「えっ、紅茶を?」 「ああ。ウチの両親も、お前の紅茶のファンだしな」 「うん、そうだね」  柔らかく微笑んだ羽月だが、まだ何か言いたそうにしている。 「まだ何かあるのか?」 「うっうん、あの、ね。その…陽一はずっとあの工場で働いていくつもり?」 「う~ん。そうだなぁ」  東京へ店を出すのに、利皇からの紹介で何人か人が入った。  そして工場を増設したのに合わせて、従業員も増えた。  あの工場では陽一は一応中堅とも言えるが、そんなにエライわけではないので、辞めると言い出しても強くは引き止められないだろう。 「…まっまあ他に職があるわけじゃないからな」  自分で想像したことにダメージを受けながら答えた。 「もし他に仕事があったら、そっちに移る?」 「まあ今のとこより良かったらな」  妙に必死になる羽月を見ておかしく思い、陽一は首を傾げた。     
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