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水野は訝しげに、陽一の持つ書類を捲った。
「出費は全てあちら持ち。他の出費も領収書さえあれば向こうが出すと契約書にあります」
「あっ、本当だ」
書類の一番最後は、仮契約書のコピーだった。
「そして一番わたしが怪しいと感じたのは、店の場所です」
「いつもの駅やデパートなどではなく?」
「はい。一つの店として、出してくれるそうです」
水野の言葉に、陽一は動きを止めた。
「店、を? 店って、駅やデパートの一画にある店舗ですか?」
「いえ、この工場の商品を取り扱った一つの店です。彼等が提示しているのは、東京に建物を造り、そこをまるまるウチの店にしたいとのことです」
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