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 再び書類を捲り、地図のページを見せた。そこには住所も載ってある。 「はっ? 東京? しかもウチの商品だけを扱う店?」  さすがに声も引っくり返る。  水野は険しい表情で頷いた。 「明らかに怪し過ぎます。出費は全て全額向こう持ち、建物に関しても向こうが全て用意してくれるそうです」 「そりゃあ…怪しいですね」 「ええ。しかし会社の方は至って安全なんです」 「どこの会社ですか?」 「会社名はS&M。仕事内容は投資運用業ですね。ホームページがありまして、そこから電話で連絡を取り合ってもみましたが、ちゃんと応えられました」  水野はしかし、不安げに首を横に振った。 「会社ができたのは、わずか一年前のことです。ですが投資で成功し、大きく成長している会社です。しかし…会社に関して、不透明な部分が多過ぎる会社でもあるんです」 「不透明…と言うと?」 「会社の内情が全く分からないと言ったところですね」  水野は肩を竦めると、書類を指でトントンと叩いた。 「こういう契約を交わしていることは、過去に何度もあるらしいです。しかしここまでの契約内容はウチぐらいだそうで…」 「よく知っていますね」     
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