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「羽月くんの父親はもちろん彼をと望むだろう。でも正妻はそうもいかない。部下達だって黙っちゃいないだろうしね」
「敵だらけなんだな…」
「そうだね。でも羽月くんはキミの存在があるから、強く立ち向かっていける」
「えっ?」
思わぬ言葉に、動揺した。
「キミと今度こそ生きて一緒になる為に、彼は彼なりに頑張っているんだよ。今はちょっとゴタゴタしているけど、そのうち落ち着くからさ」
陽一の肩をバンバン叩き、利皇は笑みを浮かべた。
「それまでの辛抱だよ。…なぁに、決着はすぐにつくから」
「利皇、お前…」
陽一は微笑みかけた表情を引き締め、真顔で低い声を出した。
「―何考えてる?」
「やだなぁ、そんな物騒な空気出さないでよ。大丈夫、俺はどちらかと言えば、羽月くんの味方なんだから」
「…その言葉、信じてもいいんだな?」
「もちろん」
胡散臭さはかなりあったが、今は彼を頼るしかない。
「だから陽一くんは仕事に専念して。こっちが頑張っても、そっちがダメじゃ意味ないんだから」
「ダメになんてするか! 利皇、お前友達少ないだろう!」
「あはは、どうだろうね?」
利皇の軽口に怒りながらも、心の中では感謝した。
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