第一章 はじまり

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第一章 はじまり

寸意(すんい) 1984年、フェニックスタクシーはハイヤー50台分を含めて保有台数が607台になっていた。銀行借入残高も30億円を超えていた。そして、はじめがはじめたもう一つの事業、ワイン事業も急ピッチに進められていた。  はじめは、ワインはフランス南西部ボルドー産のワインの中でもシャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・マルゴー、シャトー・ラトゥール、シャトー・オー・ブリオン、シャトー・ムートン・ロートシルトの5銘柄のみしか取り扱わないと決めていた。各種年代物も含めて名だたる銘柄のものだけだ。 シャトー・ラフィット・ロートシルト シャトー・ラフィット・ロートシルトは、ボルドーの北西メドック地区の高名なワイン生産地ポーイヤック村の北端に位置する。シャトーの敷地面積は123ヘクタールで、うち100ヘクタールがブドウ畑となっている。石灰質を基盤とする砂利質のテロワール(土壌)はメドックでも最上と目されている。品種別の作付面積は、カベルネ・ソーヴィニョンが70パーセント、メルローが25パーセント、カベルネ・フランが3パーセント、プティ・ヴェルドが2パーセントである。     
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