第二章 時代の流れ

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第二章 時代の流れ

傍流(ぼうりゅう) 1987年はじめと啓子の間に待望の男の子が産まれた。名前は直久にした。まっすぐに生きてほしいという願いから付けられた名前だ。会社の全体の売上高も100億円を超えていた。フェニックスタクシー史上最も安定していた時期だ。ワイン事業も杉並区界隈のレストラン経営者を多数お客さんに持ち、食後にタクシーを利用したいお客様に優先的に斡旋してもらえた。また、銀座のクラブにも卸すようになり水商売関係の経営者ともネットワークができた。クラブに高級ワインを卸し、タクシーが必要なお客様にフェニックスタクシーを斡旋してもらう。この異色の組み合わせは、はじめが最初から意図していたわけではなかったが、法人契約している法人の幹部の方の利用との相乗効果でもあった。これまで行ってきた経営努力が、点と点が線で結び付き合い有機的に紡ぎ合い始めていた。はじめは、30歳になっていた。     
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