Track 03.                                【確かめるのは難しくて怖い。だけど本当のことを知りたくないなんて嘘。】

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 もうやめよう。奏多(かなた)の降りる駅は次だ。ちょうどここで話が途切れたところで会話を終わらせるつもりで窓に顔を向けたときだ。 「じゃあさ、」  奏多(かなた)が話し始めた。 「……これからヒマなの?」  胸のあたりがドキッと鳴った。それでも奏良(そら)はキャラを保ちつつ「まあ」と、短く答えた。  アナウンスが到着を知らせる。電車が減速する。奏多(かなた)はもう、降りなければならない。 「このままどっか行かない?」  奏多(かなた)が早口に言った。  奏多(かなた)は言った傍からすでに悲しそうな顔をしている。窓の方に顔をそらせて、何でもないように今にも止まりそうな景色を眺めるふりをして。  胸の中がきゅうっと掴まれたように痛む。奏多(かなた)は初めから断られると思っているのだ。いつも奏多(かなた)にこんな顔をさせていたのかと思うと苦しい。  ――奏多(かなた)はずっと変わらずに俺と仲良くしようとしてくれてるんだ……。それなにの俺は……。  奏良(そら)は間髪入れずに「いいよ」と答えた。 「……えっ。――いいの? なんで?」 「ははっ。なんでって、俺が聞かれるの?」 「いや! いやいや!!」  慌てて手を振り、目を丸くしている奏多(かなた)の顔があまりにかわいくて奏良(そら)の頬が自然に綻ぶ。  
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