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青い珊瑚礁
カラーンコローン、と古風な鐘の音が鳴り響く午後の校舎。
我が校自慢の図書館には、放課後へと突入した生徒たちの姿が少しずつ増えていく。
館内南側にあるワークスペースの窓はガラス張りで、三階まで広々と吹き抜けている。それを囲むように配置された湾曲したバルコニーから、各フロアをそれぞれ見渡すことができ、たくさんの書架がずらりと配置された様子はまさに圧巻の様子である。一面の大きな窓のおかげで室内は明るく浮かび上がっていて、ワークスペースの開放感は抜群。ガラス窓の外には裏庭の緑が広がり、さやさやと池の水が流れる音が静かに聞こえてくる。ここの居心地は最高なのだ。
ワークスペースの真ん中奥にレファレンスカウンターが設置されている。図書委員の俺は、その中から作業用の冊子を抱えて歩み出た。
「じゃあ俺、この本を書庫に設置してくるから」
「はーい。お願いします」
一年後輩の図書委員の女生徒の返事を確認してから、通路の向こう、階段を降りた先にある書庫へと向かった。
電動書架が立ち並ぶ書庫のなか、天井までずらりと並んだ書物たち。少しかび臭いような、古い紙たちの匂いに包まれながら、俺は黙々と整理作業を始めた。高いところには踏み台も使いつつ、たっぷりと持ち込んだ本を整理記号の順番どおりに並べていく。
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