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ところで自慢じゃないが、俺はそんなに背が高いほうではない。いや、低いわけじゃないぞ! 決してチビというわけじゃないんだ。
ただ、光臣や賢人や蓮司の三人がやたらデカイから、ガルドレンジャーの5人で並んだ時、あいつらに比べたら少ぉし小さめに見えるというだけのことだ。そう、対比の問題だ。そうに違いない、うん。
ーーだというのに、よりにもよって一番上の棚に並ぶ書物たちと格闘するはめになってしまったのだ。
書庫の中は館内全体をコントロールするメイン空調機によって温度・湿度がいつでも完璧に調整されていて、置いてある書物はちょうど良い保存状態を守られている。締め切った扉の内側、外部よりは少しだけひやりとした薄暗いその室内で、俺は一人きり、踏み台の上で作業にあたっていた。
だが、あと少し、もう少しと精一杯に腕を伸ばしていた俺は、ついつい足元の注意がおろそかになってしまっていたのだ。ぐらりと、なすすべもなく視界が傾いていく。しまった、と思ってもすでに遅く、取りすがる場所もないままに身体が斜めに滑り落ちていった。
「っ……!」
声も出ず、床に叩きつけられる衝撃を覚悟してぎゅっと目を閉じた時、がし、と力強い力で抱きとめられる。固い痛みを感じることなく、その代わりにあたたかな腕と胸板の感触を受けて、俺はおそるおそる目を開けた。
「ああ……危なかった……大丈夫ですか?」
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