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「おはよ、あきら!」
「ああ、おはよう。蓮司」
翌日も秋晴れの良い天気だった。
学園からほど近いところにある学生寮からの登校中、声をかけてきたのは色素の薄い茶髪をツンツンと逆毛立てた、明るい印象の男子学生。
彼の名前は三日月蓮司。そして我らが仲間の一人、ガルドイエローだ。
常人離れしていると言っていいほどスポーツ万能で、ライトな容姿とはうらはらに細マッチョの蓮司はチームではパワータイプ。だけど普段は根っから明るく人懐こい性格で、交遊関係も広い。俺の隣に並んで歩いている今も、いたるところで顔見知りから声をかけられている。
その合間をぬいながらやや声を潜め、蓮司は俺に向かって切り出した。
「あきら、あきら。僕さー、最近、敵の襲撃が増えてきてると思うんだよね」
「敵の? ……やっぱり、お前もそう思うか?」
「うん、思う。それにさ、あきらが第一遭遇者になる率、高くね?」
「え? そ、そうか?」
「そうだよ。自覚なかったんだ?」
「う……」
そうなのだろうか? その点はあまり気にしたことはなかったけれど。
やはりあれだろうか、名探偵が事件を呼ぶのと同様に、ヒーローたる者は邪悪な存在を呼び寄せてしまうものなのだろうか?
「光臣がぶーぶー文句言ってたよ。またあいつは! って」
「えー……そっか。仕方ない、あとでちょっと話しておくよ」
「うん。そーしたげて」
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