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赤穂光臣は幼稚園の月組の頃からの、俺の幼馴染みだ。
そもそも俺が『ヒーローになりたい』と言い始めたのは5歳の時。その頃にも、ずっと一緒にヒーローごっこで遊んでいた友だちだった。
『おみくん、俺ね、大きくなったら、こんなごっこ遊びじゃなくって、ほんとにほんとのヒーローになりたいんだ』
『あきらちゃん、それほんき? すっごく、キケンがいっぱいなんだよ』
『うん。わかってる。でもおれ、ほんきなんだ』
『そっかぁ……』
まだ小さかった光臣は、幼稚園の園庭の片隅にあるジャングルジムのてっぺんでそっと語った俺の夢の話に、真面目な顔をして腕組みをした。
お迎えのお母さんが次々にやってきて、一人、二人と友だちが帰っていく。
少し肌寒い園庭には赤みを帯びた夕陽の光が射してきて、黄昏の時間はまるで幻想的な世界に紛れ込んだような切ない気持ちになる。
それから、うん、と大きく頷いて、顔を上げたんだ。
『じゃあ、俺が、一緒のヒーローになって、あきらちゃんのことを護るよ』
光臣はそれからずっと、一緒に闘っている仲間だ。
高等部に入学して、こうして念願のほんとにほんとのホンモノのヒーローとなった今も、ずっと。
俺のことはなんでも――それこそ俺の知らないことまでよく知っていて、昔からずっと、頼りになる兄貴分的な存在だった。
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