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「んで? わざわざ気になって俺のとこまで来てくれたってわけ? あきらちゃん」
昼休み、俺は光臣を呼び出して、屋上で一緒に弁当を食べることにした。
光臣はすらりとした長身で胸板もがっしりとたくましく、大きな弁当箱もぺろりと平らげてしまう。早々に食事を終えた彼は爪楊枝をくわえたまま、にかりと白い歯を見せて笑った。
ガルドレンジャーの切り込み隊長、レッドの担当はこの光臣だ。
赤みを帯びたストレートの茶髪が颯爽と風になびく、その軽やかな風貌に女子生徒たちの人気も高いらしい。
「だって……また怒ってるかなぁって思って」
「今さらなんだよなぁー」
「今さらって」
「いいか、あきらっち。俺、最初に言ったよね、お前みたいな可愛い子ちゃんはレッドって柄じゃないって」
「言ってた……けど」
ちゃんと覚えてる。あれはチームの初顔合わせの席、担当カラーを決める話し合いをした時のことだ。
光臣はその時にも持論を強固に主張して、そのせいで俺は第一希望のレッドではなく第二希望のブルーになったんだ。
「わかる? レッドってのは主役ポジ。つまり一番責任が重くて、一番仲間のピンチに駆けつけて、一番危険なポジってことだろ」
「だから、そんな危ないところ、お前にやらせるのは俺には――」
「ばぁっか。お前ももちろんわかってると思うけど、身体には自信ありなのよ、俺は。運動神経だって、相当なもんよ」
「知ってるよ。もちろん」
「だろ? だからさ、お前みたいになにかと狙われやすいお姫様ポジのやつはさ」
光臣がすいと手を伸ばした。そして昔から時おりするように、俺の頬をすり、と優しく撫で下ろす。
「おとなしく俺の右側に寄り添って、黙って護られてりゃいいんだよ」
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