想い出がいっぱい

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 彼――烏丸(からすま)賢人は実は俺の隣人なのだ。  寮生活を送る俺にとっては隣室の彼はもはや兄弟も同然。  それに彼も、ガルドレンジャーの頼もしきメンバー、ガルドブラックなのだ。  寡黙でポーカーフェイス、決して陽気ではなく決してガラも良いとはいえない男だが、その胸には熱く燃える正義の心が宿っていると、俺は信じている。  チーム結成当初、なんでブラックを担当カラーに選んだのかと、賢人に尋ねてみたことがあった。  赤、青、黄、それから紅一点のピンク。最後にカラーリングを決めた賢人は、緑や橙や紫などではなく、迷わず黒を指定したのだった。 「どうしてブラックなんだ? そこはふつう、グリーンとかが妥当じゃないのか?」 「ああ? 僕にグリーンなんてさわやか満点の色合いが似合うと思うのかよ?」 「いや、そりゃあ……賢人はブラックが似合うクールな男だと思う、けど……」 「だろうが」  ふっと息を吐いてから、賢人はぐしゃぐしゃと俺の髪をかき回した。ああ、もう、俺の髪はふにゃふにゃの猫っ毛だから、それはやめてくれっていつも言ってるのにっ。 「――カラーなんて、なんだっていいんだよ。戦いが始まったらあんたはとにかく、僕の後方で応援でもしてくれてりゃいい。この顔に傷でも作ったら、承知しねえからな」  そう言ってあるかなしか、ほんの幽かに微笑った賢人は、その瞳にやわらかなぬくもりを滲ませていた。  ぶっきらぼうだけど細やかな心遣いを垣間見せる。賢人はそういう、クールで優しい男なんだ。    ――ああ、でもそういえばその時、そばにいた奏が、 「ねえ、ガルドレンジャーってさ、守護者って意味って話だけど、いったい何を守護する集団なのかしらねぇ……」 って、ぼやいてたっけ?  あれは一体、どういう意味だったんだろう?
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