カラフルへようこそ。

8/12
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
「いやー。先生は嬉しいよ、五月七日」 「はい?」 「漸く、漸く!完全帰宅部宣言を脱したな!五月七日!」 グッ!と親指を立てて、白い歯を見せる西井先生…刹那、その指を痛い方向に曲げてやりたい衝動にかられる。 「『完全帰宅部宣言』?」 「ち、違います!西井先生“だけが!”勝手に言ってることですから!気にしないでください!」 敢えて大事な箇所を強調したせいで、四月一日先輩相手に声を荒げてしまった。顔が熱くなるのを感じる。そして、適当な西井先生は何気ない面持ちで、一枚の紙切れをポケットから取り出した。 「ほら、五月七日」 そこに書かれている文字は、言わずともおわかり頂けることだろう。“入部届け”__ しかし、そこは四月一日先輩が割ってはいる。 「西井先生、強制はよくありませんよ!『見学』って、五月七日くん言ってるじゃないですか」 「なーに言ってるんだよ。なあ?五月七日」 西井先生は怠そうに自身の首に手を当てて、更には左右に曲げて問いかけてくる。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!