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「五月七日、お前」
「四月一日先輩」
「は、はい!」
僕は、改まって四月一日先輩に向き直る。どうやら硬直しているようだ。その姿にクスリと、また笑みがもれる。
「僕で良ければ、文芸同好会の一員にしてくれませんか?」
肩がこわばっていた四月一日先輩の表情が、体が、ふにゃり。泣きそうに眉を下げて、再び何度も、大きく頷いて。やっと、やっぱり柔らかな声で答えるのだ。
「うん。…五月七日くんさえ良ければ、もちろん。もちろん…」
言葉の途中、俯く四月一日先輩につられて、ふと視線を下げると。四月一日先輩はぎゅうっと、制服のスカートを握っていた。そして、
「私に!力を貸してください!私と一緒に!活動してください!」
ボロボロと大粒の涙を流した。西井先生の手が、ぽんっと、四月一日先輩の頭に触れる。
「実はな、五月七日。黙っていたが」
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