ある夏の日の魔法

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翌朝。 トレーナーとモコモコのズボンで寝ていたが、暑さで息苦しくなり、目が覚めた。嫌な目覚めだ。 汗が次から次へと背中を伝っていて、気持ちが悪い。 そうだ。雪は? カーテンを開けると、そこには昨日の銀世界が嘘のように、アスファルトの地面がむき出しになっていた。 1日経つと、もはや全て幻だったように思える。 思い出に縋るように、カメラの履歴を見る。電源を入れると、昨日最後に撮った青年と雪景色が映った写真が出てくるはずだった。だが…、 A「あれ…?」 彼がいたところには、雪だるまがちょこんと座っていて、彼が巻いていたマフラーがその雪だるまの首元に巻きつけてあった。 A「雪の妖精さんだったのかな。素敵な1日をありがとう」 写真に向かって微笑みかける。 雪だるまもこっちを向いて笑っているようだった。 蝉の声が静寂を破るようにこだまし始めた。 短い奇跡は終わってしまった。 惜しむように、カメラを机の上に置く。 また会えるその日まで。 END
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