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見てみると赤くて丸い持ち手が先端についたレバーがあった。レバーは俺側にも綾乃側にも倒れてはいない。
「このレバーを蹴って相手のほうに倒すと丸ノコ刃は相手側に移動し、相手の喉を切り裂くよう
になっている。同時に生き残ったほうの拘束具が外れ、ドアのロックが解除されて外に出るこ
とが出来る。レバーをお互いに倒さなければ、君達はこの地下室で朽ちるのを待つだけだ。君
達はお互いに依存してきた。その関係を今、その丸ノコ刃で断ち切れ。」
テレビが消え、部屋の明かりは俺達を照らす裸電球だけになった。それと同時に丸ノコ刃が回転を始めた。
ギュイーン!
うるさい音が地下室に鳴り響く。恐らく俺も綾乃も考えていることは同じだ。
(…相手を殺さないと自分が死ぬ。)
「起きてくれ…!頼むから…!」
山岡刑事はゲームの行われていた洋館で必死に寝ている少女を起こそうとしていた。
つい先程、俺達はこの洋館に乗り込んでゲームマスターを捕まえ、ゲームを止めようとした。
しかしゲームは既に行われていた。ネットで配信されていた映像も録画で、生中継と思わせた時間差トリックに見事に引っかかってしまった。
今となってはこの少女だけがゲームマスターにつながる唯一の手がかりだった。
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