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1章 丸ノコ刃
手に感じる金属の冷たさで目が覚める。
「なんだよ…これ…。」
山田光は自身の状況が異常であることに気づくのに対して時間は要らなかった。
まどろんでいた意識が一瞬にしてクリアになる。
ここはどこだ…?天井でともる裸電球に照らされている室内はまるでホラー映画に出てきそうな地下室のようだった。床は所々に埃が落ちており、棚にはワインを保管する棚があったがワインボトルは無かった。見る限りかなり古い部屋らしい。部屋の中央で、俺は椅子に拘束されていた。金属製の拘束具の冷たさが俺の意識を正常にした。
その異様な雰囲気をさらにおかしくしていたのが目の前の機械だった。
目の前には丸ノコ刃がつけられた装置が置かれていた。たとえるなら人体切断マジックに使うような丸い電動のこぎりが横にして置かれていると言う感じだろうか。その鋭利な刃は俺の喉元から五センチほど離して設置されていた。この刃が回転し始めて俺の喉元に少しでも当たろうものなら俺の喉は一瞬にして切り裂かれるだろう。
そして向かい側には…。
「…綾乃?」
目の前には俺の協力者、杉本綾乃が俺と同じように椅子に縛られていた。
「よかった…。ようやく起きた…。」
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