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そして冒険(奴隷生活)へ
「光一の夢ってなに?」
名前も知らない友達からの単純な質問に僕は苦笑いをする。こんな変なことを聞いてくるのは、今日出された将来の夢をテーマにした作文のことだろう。まったく、14歳になってまで将来の夢について書かされるとは思わなかった。この学校は僕たちをバカにしているのか?
「特には決めてないかな」
心の中で怒っているのを顔には出さず、ニコッと笑顔で返答する。
友達には話さない。「冒険すること」なんて言ってしまった日には次の日から笑いものだ。
この国民は『楽園』から出る者をバカにする。自分の国を捨てるのかと。愛国心が足らない非国民とまで言われてしまうほどだ。
この前も、近所のお兄さんが他国から『楽園』に帰ってきた時、それまで仲が良かったであろう人たちから石を投げられていたのを見たばかりである。
もう少しすれば『楽園』での僕の立場はお兄さんのようになるだろう。でも、いつかは両親に言わなければいけない。それは僕も分かっている。大事なことは先にすれば先にすれほどは話しづらくなっていくものだ。話さないなんていう選択肢はない。親にも迷惑をかけるのだから。
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