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「母さん、大事な話があるんだ。僕の将来の夢について」
「どうしたの?まさかニートになりたいなんていうんじゃないでしょうね?お母さんそんなの絶対にゆるさn」
「『楽園』を出たいんだ」
二人の間に時が止まった。母は言葉の続きをいう口の形をしたまま表情だけが固まっている。次第に眉間にしわを寄せ始め、やがて泣きそうな顔になった。
「本気で言っているの?」
「うん。僕は『楽園』を出て自分の目で世界を見たいんだ」
「『楽園』を出ると言うのはどう言うことかわかっているのよね?」
「もちろんわかっているよ。『楽園』を出たら皆からバカにされるのは覚悟の上さ。母さんにも迷惑をかけると思うけど、許してほしい」
「ダメよ」
淡々とした冷たい声。母の目は本気そのものだった。
「そんな:どうして?」
初めて。初めて母親からストップがかかった。
でもここで引くわけにはいかない。母の強い目を見返す。
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