1「先生って好きな人いないの?」

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  ◆ ◆ ◆ 「──いやいやいや、がっつり大嘘ついてんじゃーん。百井(ももい)センセってば最低っ!」  (きよ)は笑いながら僕の罪悪感にトドメを刺そうとする。 「でも、僕たち付き合ってはいないだろ?」 「そーですねぇ」   「一緒に住んではいるけど、もうすぐ結婚しないだろ?」 「でしょうねぇ。オレは財力無し、モモは生活力無し。かなりお似合いだけど、これ以上どうこうって考えらんねーもんなー」  リンゴの皮をくるくるとむいている彼は、唇をとがらせてゴキゲンに口笛を吹き出した。  軽快なウェディングソング。  曲がピープーと盛り上がっても手先は少しもとまらず、狂うことがない。  皮も途切れることなく祝福の紙テープのごとく長く長く続いていく。  きっと厚みも均等だろう。完璧だ。  
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