3「モモじゃないとダメな身体になっちまったみたいだ」※

3/10
前へ
/704ページ
次へ
   聖と再会したのは一年前の秋の終わり。  中学卒業から十二年が経っていた。  僕は仕事帰りで、駅へ行くために横断歩道を渡っていた。  頭のなかは失敗・反省でいっぱい。  生徒の質問にああ答えればよかった、こう言ったらもっと分かりやすかったろうに──なんて、ぐじぐじ考えていた。  寒さと後悔で背中は丸まって、さぞかしくたびれていたことだろう。  僕自身、周りがまったく見えていなかった。  ──「おおぅいっ!」  背後から息を弾ませて走ってきた誰かの叫び声。  まさか僕を呼んでいるわけがない。  そう思った瞬間、背中をおもいっきりバチーンと叩かれ、眼から魂が飛び出そうになるほどおどろいた。  
/704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2730人が本棚に入れています
本棚に追加