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聖と再会したのは一年前の秋の終わり。
中学卒業から十二年が経っていた。
僕は仕事帰りで、駅へ行くために横断歩道を渡っていた。
頭のなかは失敗・反省でいっぱい。
生徒の質問にああ答えればよかった、こう言ったらもっと分かりやすかったろうに──なんて、ぐじぐじ考えていた。
寒さと後悔で背中は丸まって、さぞかしくたびれていたことだろう。
僕自身、周りがまったく見えていなかった。
──「おおぅいっ!」
背後から息を弾ませて走ってきた誰かの叫び声。
まさか僕を呼んでいるわけがない。
そう思った瞬間、背中をおもいっきりバチーンと叩かれ、眼から魂が飛び出そうになるほどおどろいた。
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