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ただのルームシェアだと気づいた生徒たちの反応はさまざま。
同棲じゃないのかと失意のため息をつく子や、くだらない冗談を言うなと不機嫌になる子、「だと思った」と笑ってくれる子もいる。
どんなリアクションにせよ、僕にとっては同じこと。オチがついたところでかならず話を打ち切る。
授業中であれば本題へ戻り、帰りたがらない生徒との雑談であればその場を離れてしまう。
疑われてしまわないように。
ふっと息を吐いて、心なかで繰り返すのはいつも同じことば。
──『嘘はついていない』
嘘をつくのは昔から好きじゃない。
ことばを重ねてしまうと、真実がなんなのか分からなくなる。
ただでさえふわふわとぼやけている自分の心が見えなくなってしまう。
できることなら正直に生きたい。
嘘になりきらないことを口にして、自分と真実が離れないようにしたい。
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