3「モモじゃないとダメな身体になっちまったみたいだ」※

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   ──「お前、モモだろ? 干からびたナメクジみたいなそのツラ、ぜってぇモモだよな!? わー! やっぱモモだ! 久し振りじゃんっ!!」  周りの人もおどろいて振り返るほどの大声で、聖は僕との再会を喜んだ。  僕が『百井(ももい) 亮介(りょうすけ)』だとちゃんと確かめたわけじゃないのに、モモだモモだと決めつけて譲らない。  よっぽど自信があったのだろう。  両手をぎゅっと握って、今にもくるくる回り始めそうにはしゃぐ。  干からびたナメクジってなんなんだ。  僕といえば、記憶のなかの『関口(せきぐち) (きよ)』を思い出すのに必死で、たいしたリアクションができなかった。  せいぜい、薄ら笑うぐらい。  聖は大口開けてゲラゲラ笑って「久しぶりなのに冷てぇなあ!」と言って、肩をどついた。  
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