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中学時代もずっと自分自身のやり方をつらぬいていた聖は、奇抜なチャラ男に進化していた。
ゴールデンレトリバーの毛ヅヤのような髪。
じゃらじゃらと重たそうに耳にしがみついているピアス。
へらへらとゆるんだ口元。
だぶだぶで胸の大きく開いた服。
シャンプーやせっけんとは違う、人工的な甘い香り──。
声をかけられなかったら、無意識に視線をそらしていたに違いない。
聖が光なら、僕は陰。
いつだってそうだった。
僕といえば髪型も服装も色使いも恥ずかしいぐらいに野暮ったいまま。
恋人なんていないことを瞬時に悟られてしまったのだろう──。
気づいたらベッドの上で、指の根を深くまで絡め、互いの肌のなつかしい香りをかぎあっていた。
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