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「なー、モモぉ」
テレビがCMに入ったタイミングでリンゴをむき終えた聖は、妙に甘えた声ですりよってきた。
僕が返事をせずにいると「ねぇん」とわざとらしすぎる口ぶりで、自らもソファに乗りかかってくる。
二人分の体重を一気に受けた安物ソファーは、ギチギチと苦しげな音を立ててきしんだ。
「モモ! モモっ!」
「んー」
「今日、いいだろ?」
この質問、僕はいつも返事に困る。
黙ったままでいると、聖は腹にまたがってシャツのボタンを下からプチプチ外してくる。
その指が首元までくるまでがシンキングタイム。
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