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「聖、僕もうお腹へったよ。食べたいな」
「オレも食べたい」
「じゃあ、早く──」
「昨日も一昨日もダメだったから早く食べたい」
僕と聖の“食べたい”のニュアンスのズレは、恥ずかしいほどあからさまだった。
冗談はやめろ──と言ってやりたいが、無理そうだ。
さっきまではヘラヘラにやにやしていた聖が急に真剣になって薄い眉をしかめている。
その切羽詰まったような表情を見ていると、放っておけない。
「……まったく」
観念するしかなかった。
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