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出会い
彼は天才だった。
けれど、勉強は出来なかった。
学校ではいつも馬鹿にされる程だった。
彼はセンスがあった。
けれど、芸術に不得手だった。
絵を描かせても歌を歌わせても結局うまくはならなかった。
彼は素人だった。
けれど、玄人にも負けなかった。
二十一年生きてきた彼は、川と並行して走る薄汚れた高架橋下で偶然目撃した殺人を、恐怖を覚える事もなく眺めることが出来ていた。
だから彼は ―― だった。
♀+♂
七月の後半。
天月天はその日、午前四時頃に夜間工事の仕事を終えて、帰路に着いていた。
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