悪い虫

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完全無視することにした。 でも佳(ヨシ)くんがにやにやしてて、なんか嫌な予感。 一木君はスマホをいじったりして結局閉店まで居座っていた。 「申し訳ございませんが、閉店のお時間ですので」 店長が声をかけると、葛城さん、じゃあねっと帰っていった。 なんなんだろう。 次の日も、一木君は普段通りで、美野珈琲では居座っている。 「店長、すみません」 「いえ、葛城さんが謝ることないです。でも、今日は解決すると思いますよ?」 ヒカルさんとなんのことかと首をかしげていると、カランっとお客さんが入ってきた。 薫くん・・・ 今日もスーツ姿がカッコいい。 皺ひとつないジャケット、靴もピッカピカ。 きっと、すれ違ったら振り返ってしまう程のイケメンだ。 (それは私の欲目かな) 黒い前髪がさらっと揺れて、その奥の瞳が私をとらえた。
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