悪い虫

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「え? あ、はい。同じクラスで。あの」 「片桐薫と申します」 一木君はあっという顔をして、いやらしい笑みを浮かべた。 名前、憶えてたんだ。 「へえ、葛城さんの彼氏さん?」 「そうですけど、咲子に何か?」 威圧的に話す薫くんはカッコいい。 対して一木君は、なぜか余裕の表情だ。 ほーっと見てるとヒカルさんがうわっと声を出した。 「ねえねえ、なんかマズくない?」 「いえ、大丈夫でしょう」 店長は相変わらずおっとりしている。 「僕、一木陸人(イチキ リクト)です。葛城さんと同じクラスで。片桐さん、父の事知ってますよね?」 一瞬、薫くんの眉間に力が入った、気がした。 「一木・・・もしかして、署長の、息子さん?」
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