悪い虫

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送ってもらう車内は、なんとなく気まずい。 「薫くん、署長さんにバレたらまずい、よね?」 「なにが?」 うう、なんか怒ってる。 「だから、私と付き合ってるってこと」 「あのな、咲子、勘違いしてるだろ。俺は別に署長にバレたってかまわないんだよ。そんなことより、保健室って何? ああ、もお」 グイってハンドルをきって、公園の駐車場に入った。 ここは、前にも来たことがある。 「説明して」 イライラしてるのが伝わってきて、なんか悲しくなる。 「あのね、昨日」 隠さずにちゃんと話した。 出来れば言いたくない。 保健室で抱きしめられて、頬にキスされたなんて。 でも、やましい事なんて全然ないから。
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