悪い虫

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連休明けの教室は、まだ遊びたい雰囲気が漂ってる感じがする。 でも、担任の一言で一気に空気が引き締まった。 「今日提出の課題分は明日テストします。毎週小テストがありますから準備しておいてください。それから来週は模試があります。各自目標を達成できるように」 ああー、受験生なんだな。 高校受験は結構余裕だったと今更ながら思う。 大学となると敵は全国、薫先生にばっかり頼ってちゃダメかな。 「葛城さんはいいよなー、家庭教師が超優秀でさ。俺はどうしたらいいんだっ」 隣で頭を抱えているのは浅野君。 部活も夏の大会が終わるまで辞めないって言ってたし、忙しいよね。 「葛城さん家庭教師頼んでるの?」 斜め後ろの一木君だ。 「えっと、家庭教師って感じじゃないけど。まあ、そんな感じ、かな」 「そっかー、だから葛城さん成績いいんだな。俺にも紹介してよ、その家庭教師」 「ムリだ」 答えたのは浅野君。
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