悪い虫

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一木君の腕の中で身動きが取れない。 後ろから抱きしめられていた。 「ちょっ、なに? 離してっ」 「俺・・・ごめん、でも」 後ろから頬にキスされて解放された。 なっ 「信じられない、最低っ」 保健室のドアを開けると向こうから養護教諭が歩いてきた。 「あら、保健室に用があった?」 「いえ、あ、頭痛がしたので少し休んでました。でももう治ったので失礼します」 後ろから先生と一木君の話声がしたけど、急ぎ足で渡り廊下を突っ切った。 そうだ、一木君を置いてきちゃったのはまずいかな。 確か具合が悪いのは、私の方だ。 トイレで時間を潰して、ざわざわと生徒が廊下へ溢れる音を聞き、教室に戻った。 「葛城さん・・・」
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